手考足思

日々かんじることを綴ったもの

カレーライスを一から作る

「カレーライスを一から作る」をみた。

映画そのものはもちろん面白かったのだけれど、それ以上にわたしが興味をもったのは、シアターが満席だったということ。客層は小学生からお年寄りまでさまざまだった。

 

上映終了後のパネルトークで関野さんに、学生さんたちはどのような気づきを得ていたのか?と質問すると、映画の中に出てくる一人の学生の変化を取り上げて、言葉丁寧に答えてくださったあと、「気づきは学生によっていろいろあるけれど、カレーライスを一から作ることやカヌー作りの意味は、”時代や場所”によるという側面がある。例えばここがアフリカであればカヌー作りなんてみんな日常的にやっていることでめずらしくもなんともない。カレー作りだって、少し前の時代であれば野菜を栽培したり、鶏をしめるなんてことはみんな当たり前にやっていたことだから、こんなドキュメンタリー作ったところで馬鹿じゃないかということになる。」

 

それでも昨日シアターは満員だった。多くの人が興味をもつその背景には、たぶん、野菜栽培も鶏を屠るのも塩を精製するのも器をつくるのも、自分たちの手でこしらえるという体験は、きっと今の日本の若い人にとってはすべてが未知だから。

 

この数ヶ月、自分にとって生きるとはどういうことなのかを考えていて、自分に必要なものを自分の手でこしらえることができること、と以前のエントリに書いた。

そのときは、それは自分個人にとっての意味だったのだけれど、昨日シアターが満員だったのを見て、もしかしたらこれは自分にとっても、また他の人にとっても、意味のあることなのではないかということに気づいた。

 

小林りんさんが言っていた「個人の視点と社会の視点の接点を求めるような問いの立て方」が、できるような気がする。